あとがき


 はじめましての方ははじめまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。村上 葵です。
何だかんだで星陵祭が終わってから数ヶ月の時が経ってました。色々とごめんなさい。
さて、媒体が紙じゃないので思いっきり沢山のあとがきを書けるわけですね。長いですよ?

 このお話は、私が高校一年生の頃に、初めてやめがらみに掲載してもらった作品のリミックス(小説だから改訂版とかリライトとかでしょうか)です。
昔は村上 葵ではなく、青葉 月華と名乗っていましたので名義もそっちにした方がいいのかなぁとも考えたのですが、余計なことかと思い止めました。
別に、青葉 月華 rewritten by 村上 葵でもいいかなーと思ったんですけどね。何だかほら、音ゲーっぽいじゃないですか。ちょっと格好つけてみました。なんて。

 閑話休題。

 さて、そんな高校生活初めて提出したこの作品ですが、漫画文芸のサイトに載せる作品を作って欲しいと言われた時に真っ先にこの作品を書き直したい! と思い作り直すことにしました。
作ってほしいと言われたのにリライト版ですか。とか言っちゃいけませんよ。
それでいてもリライトで構いませんよと言って下さった部長さんは人の心を捉えるのに長けてるなと思いました。皆も気をつけたほうがいいよっ。

 しかしながら、この作品を初めて出してから随分と時間が経ったわけでして……。
あれから○年、歳を取った今の私がこの作品を見ると、まぁよくもこんな飛ばし飛ばし書いたり無茶なことしたものね。と思ってしまいます。
でもその所々飛ばしたり、無茶するクセが抜けてない辺り、私って変わってないなぁと思うのは置いておいて。

 この作品はそれはもう私が作り出してきた作品の原点とも呼べるものかもしれません。
当時から物凄く私に影響を与えていた、グラッピこと『GRANULATED HAPPINESS』という作品を非常に強く意識しているのがひしひしと感じられますしね(笑)。
現実にありうる日常生活を中心としながらも、どこかありうる…のかな? と言った虚構を混ぜた物語の流れがそうでしょう。
日常生活を切り取ったような物語なので、当時の先輩からパンチがないと言われたのを良く覚えています。
そしてあとがきで、確か『観る』小説とか書いた気がするんですが、小説は『読む』ものだ。とも言われた気がします。

 前者は私でも読んでいてそうだなぁ。と思わなくもないのですが、そういう話だから仕方が無いじゃないというのと、じゃあいきなり振られたり略奪されたりする展開でも欲しいんですか? ということになってしまうわけです。大きく解釈してしまえば。
パンチがある小説ばっかり読んでると疲れると思います。だから、そんな時にのーんびり気ままにぼわーと読めるもの。そういうのあってもいいじゃない。と。 
むしろパンチが無ければ無いほど、ささやかなしあわせの原石みたいなものを描けるのではないかな。と今でも思ってます。

 後者ですが、小説は確かに『読む』ものかもしれません。
でも、それを通じて木々の囁きや潮風の香り、夕日の茜色やコーヒーの苦味、大切な人の声や手の温もりを感じることは可能だと思うのです。
また、観るものじゃなかったらどうしてスプラッターものを読んでいて物凄く痛いっと感じてしまうのでしょうか、恋愛小説を読んでいて涙を流してしまったりときめいたりしてしまうのでしょうか。
どこかしらでその書かれている情景等を、無意識の内に作り出して観ているからではないのでしょうか。
そういう意味で、私は観る小説と書いたつもりなのでしょう。

 もう一度閑話休題。

 今では顕著に表れている"ささやかなしあわせ"も、この物語内では解釈次第で浮かび上がることが出来ると思います。
そして読み返して気付いたのですが、喫茶店が描かれていたのも興味深いですね。何故か自分の作品には喫茶店が良く出てきます。
また、所々のややクサイ登場人物の言葉遣いや『私と先輩は、この小さな世界で二人っきりになった。』といった部分は、今の私には書けないだろうなぁと。
あの頃の私はピュアだったのでしょう。いや、そのころから夏休みやら年末の某有明で開催されるイベント行ってたのでピュアじゃないですね。瑞々しかったのでしょう。何かが。

 改訂作業はそんな何かが瑞々しい文章なので、基本的な話の流れはいじってはいません。
人物の行動の理由付けやら、何か足したいなーと色々と書いていたら原盤より結構膨らんでしまいました。ま、多少は登場人物の魅力がより書けたかなと思っています。
私の書く作品は色々な所で他の作品と繋がっていて、その辺りも書き加えてみました。とは言いつつも、時系列では始めの方かつあまり影響度が少ない話なのでほんのちょっぴりしか関与はしないのですが(笑)。

 また出してからある程度日が経ったら、書き直したいーー! と思うことがあるのでしょう。
その時はその時で。

 この小説を読んだ方が、少しでも心のどこかに暖かさを感じてくださったのならと思っています。


村上 葵



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